かべ新聞コンテスト
講評

最終審査委員長
山下宏文
取り上げられた内容を見ると、地球温暖化問題への対応としての再生可能エネルギー(バイオマス、太陽光、風力、水力等)や水素エネルギーの利用、発電におけるエネルギーミックスの問題、SDGsやカーボンニュートラルに向けた取り組み、農業や輸送(鉄道、自動車)とエネルギーとの関係、衣や食とエネルギーとの関係、さらに生態系への影響など様々な視座がありました。昨年度の講評で「問題の捉え方(内容の設定)がやや固定してしまっている」という指摘をしたのですが、今年度は大きく改善されたと思います。
最優秀賞(経済産業大臣賞)となった「新時代バイオマス新聞」は5年生3人による共同作品ですが、「今年の暑さのせいで授業に集中できない」という実感・身近な問題から、地球温暖化問題に目を向け、その原因である二酸化炭素の排出を減らす取り組みはないのかという明確な問題意識を共有しました。その取り組みのひとつとしてバイオマス発電に着目し、自分たちが暮らす地域(北海道)の二つのバイオマス発電所の見学・取材を行っています。そしてその結果をかべ新聞にまとめ、その上で「今私たちにできること」は何かをそれぞれが表明しています。しっかりとした探究に基づくと共に紙面の構成や表現の工夫も大変よかったです。
もうひとつの最優秀賞(経済産業大臣賞)である「水素で目指すエネルギービジョン新聞」も6年生2人による共同作品です。「未来を支えるエネルギー」としての「水素」という資源そのものに着目するという問題設定になっています。水素の性質やつくり方を押さえたうえで、実際に札幌にある水素ステーションを見学・取材し、水素利用がされている燃料電池自動車のメリット・デメリットをまとめています。また、北海道の温泉地や家畜の糞尿から得られるメタンを利用した水素製造などについてもふれ、水素は「低炭素&脱炭素に貢献できるエネルギー」だという結論を導き出しています。しっかりとした探究に基づく説得力のある内容となっていました。
本コンテストの今後の課題としては、応募数が増えたとはいえ、コンテストが始まったころの応募数に比べれば、まだまだ少ない状況です。このかべ新聞コンテストにさらに多くの小学生が参加できるようにいろいろ働きかけてゆくことが必要だと思います。また、デジタル作品が年々増加している傾向は歓迎すべきことと思いますが、その質的向上をどのように図っていくかということに関しては、検討の余地があるところです。
SNSやWEBメディアではなく、かべ新聞というメディアの特性を十分生かせる作品づくりにこれからも取り組んでもらいたいと期待しています。
(順不同)
※紹介する各作品は小学生により調べまとめられた新聞で、一部事実とは異なる内容が含まれている場合がありますが、そのまま掲載しています。